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2010年8月28日 (土)

227~229 備忘録 「鳴海風の和算小説」

227 『円周率を計算した男 初版1998年

<概要> 江戸中期、円周率の公式を明らかにした建部賢弘の苦闘の生涯を描く表題作をはじめ、和算の世界を活写する6篇を収録。第16回歴史文学賞受賞作。

228 怒濤逆巻くも 幕末の数学者小野友五郎 初版2003年

<概要> 二両一人扶持という微禄の笠間藩士の四男に生まれた小野友五郎。数学の才能を認められ、幕府の天文方、そして長崎海軍伝習所一期生として西洋数学と航海術を習得。航海長として咸臨丸に乗り組み、アメリカへ。幕末の傑出したテクノクラートを描く渾身の書き下ろし歴史長篇。    

229 『美しき魔方陣 久留島義太見参!』 初版2007年

<概要> 美しい詰将棋を作り、和算家として超人的な能力を持ちながら、浪人暮らしを続ける久留島義太。好きな酒につられ、土屋土佐守の薦めで磐城平藩の登用試問に参加し、そこで知り合った松永良弼と妹の芙蓉と親しくなる。しかし、藩を我がものにしようとする野心家が、その兄妹に奸計を仕組んだ。藩と二人を守るため、久留島は空前絶後の立体魔方陣勝負に挑む! 左右対称となる詰将棋、登用試問での和算の出題の数々、立方四方陣…。実在した天才和算家である久留島義太が大活躍する、書き下ろし和算エンターテインメント小説。

clover読むきっかけ&目的&感想

常設サイエンス・カフェ「ガリレオ・ガリレイ」のランチ付き講演「暦作りから発達した江戸時代の天文学」が面白そうだったので予約をとった(江戸時代の人々の暮らしの中の暦と、当時の天文学レベルの一端を話してくれる)。その講演が明日なので、事前に話者である鳴海風さんの著書を読んでいたらより面白く講演を聞けるかもしれない、と思い読んでみた。

さくら好み ★★★★

『円周率を計算した男』は短編集だけど、時代を順に追っている連作になっていた。「算術」を取り巻く環境をざっと知る事が出来て面白かった。

『怒涛逆巻くも』は幕末の高級技術官僚だった小野友吾郎の話で、とても面白かった。NHK大河ドラマ『篤姫』や『龍馬伝』、ちょっと前に読んだ『暁の群像 ~豪商 岩崎弥太郎の生涯』などを想い返しながら楽しんだ。

『美しき魔法陣』は短編集でちらっと登場した義太が主役の話しだった。これも面白かった。

・・・・・神社に奉納されている本物の「算額」を一度見てみたいなぁ。
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clover覚書

和算(江戸時代に日本で独自に発達した数学)には、茶道、華道と同様に、家元制度の流派があり、免許制度による序列もあった。そして、無頼の天才数学者や殿様数学者が実在した。

算額は、神社仏閣の壁に、むずかしい問題をこんなに上手に解きましたよ、という感謝の気持ちをこめて、問題の数式、答えを絵馬に書いて掲げることである。この習慣は、江戸時代初期の寛永のころから始まっている。絵馬の奉納は、神に感謝する気持ちのほかに、その問題を広く人に知らせたり、難問を解いて、他の和算家に見せることを無上のたのしみにした。これがわが国の数学の発展に貢献している。こんにちでも、算額の絵馬は、各地に七百枚くらい残っているといわれている。

clover著者

鳴海 風

1953年生まれ。秋田高校から東北大学に進み、機械工学専攻修了。1980年、日本電装(現デンソー)入社。90年、第二〇回池内祥三文学奨励賞受賞。 92年、第十六回歴史文学賞受賞。2006年、日本数学会出版賞受賞。

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