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2010年8月 1日 (日)

219『珈琲 (日本の名随筆集 別巻3)』 清水哲男・編 初版1991年

珈琲を縦糸にして幾多の日常を垣間見られる

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cafe概要

珈琲にまつわる随筆ばかりを集めた本。

cafe読むきっかけ&目的&感想

5年程前に珈琲にまつわるエッセイを探していて本書を見つけた。それ以来、私が繰り返し読む本の一冊になり、年末の仕分けを免れて現在も私の本棚に鎮座している。文章に珈琲が登場するだけで、とたんに臨場感が生まれるから不思議だ。珈琲のある風景は共有しやすいし、共感もしやすい。

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◆「コーヒーの成分(1971.3)」  耕八路(1915-89)

 「ドイツで飲んだコーヒーは濃く、コーヒーカップと受け皿がくっついて、カップを持ち上げると皿も一緒に持ち上がり離れなかった」

 カウンターで客の話である。客席から下がって来たコーヒーカップが皿にくっついてくることが時々ある。その昔昭和七年ごろ、下がって来たカップを手荒に持ち上げ洗い場に入れようとして、くっついていた皿が急に落ちて破損した経験がある。皿からカップを取る時、くっついているかもしれないと、カップをちょっとこねて取る習慣がいつしか身に付いているのに改めて驚く。

 コーヒーには砂糖を入れるから、カップから少したれた液が粘質性の役目をしたのだろうくらいに思っていたが、果たして砂糖のせいなのか、コーヒー自体に粘質性があるのだろうか。体を悪くして入院した時、暇なものだから実験してみようと、まずコーヒーをのんで二、三滴液がカップのいとじきに付くようにして受け皿の上に放置した。しっかりとくっついた。

 今度は砂糖を入れずにのんで前と同じように受け皿にカップをのせ放置した。ロビーで雑談仲間と時をすごして部屋に帰りコーヒーカップを持ち上げたら皿がくっついて上がって来た。

 コーヒー液には粘質成分があった。実験にはとなりの病室の患者に立ち会ってもらった。彼とは病院でのコーヒー仲間であった。

..............................................................................
これを読んでコーヒーカップとソーサーがくっつくかどうかを私も試した事がある。残念ながら失敗に終わったけど(笑)。耕八路さんが日常で抱いたちょっとした好奇心が、見も知らぬ私に時を越えて伝染するって、何だか面白い。

◆目次

寺田寅彦    コーヒー哲学序説          
高村光太郎   珈琲店より    
斎藤茂吉    カフエ・ミネルワ    
吉田健一    カフェ    
内田百閒    可否茶館    
淀川長治    喫茶店のこと    
植草甚一    コーヒーのにおいほどの誘惑はほかにない        
                      どっさり珈琲の粉を          
柏原兵三    珈琲の話    
蜷川幸雄    時間の、四角い箱    
井坂洋子    地下へ通じる    
鍵谷幸信    言語疲れからの脱出    
別役実      喫茶店    
種村季弘    蝙蝠傘の使い方    
梅田晴夫    珈琲    
奥山儀八郎   カフェー・パウリスタ    
勝本清一郎   カフェー    
木下杢太郎   パンの会の回想    
田山花袋    丘の上の家(抄)    
吉井勇     青春回顧    
尾崎一雄    あの日この日 七十七    
広津和郎    カッフェエ漫談(抄)    
萩原朔太郎   喫茶店にて    
獅子文六    『可否道』を終えて    
永忠順     ミルクホール    
小林七郎    コーヒーのある風景 映画    
古藤田千栄子  コーヒー 紅茶    
伊藤博     日本文学に表われたコーヒー    
佐藤哲也    コーヒーの歴史から(抄)    
耕八路     珈琲の話    
児島政二郎   鼻の話    
宮崎康平    コーヒー飲みの大放浪    
小田島雄志   喫茶店人生    
山口瞳     魚河岸のコーヒー    
長田弘     コーヒー屋で馬に出会った朝の話          
清水徹     裏通りのカフェ パリ    
村松友視    アメリカン・コーヒーよ、何処へ行く          
草森紳一    ピッツ・バーグの美人                    
                      本場「アメリカン・コーヒー」の分量    
常盤新平    喫茶店について    
森村桂     ふんぞり返って飲むコーヒーの味          
清水哲男    インスタントのことなど

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コメント

あ!この本いいね。
是非読んでみたい。
ネットで頼んだら在庫がないから
お取り寄せだって
1ヶ月くらいかかりそうorz
でも、これはよさそうbookhappy01

投稿: nono1 | 2010年8月 1日 (日) 21時06分

この本、とても気に入ってるので、
nono1さんが気に入ってくれたら嬉しい。 ^^

投稿: さくらスイッチ | 2010年8月 2日 (月) 20時55分

今日、書店から絶版のお知らせが来た。bearing
こんどは、他の手段で探してみよう。search

投稿: nono1 | 2010年8月 4日 (水) 06時26分

そっか、絶版になってるんだ、
面白さが地味な本だからねぇ。。。think

投稿: さくらスイッチ | 2010年8月 4日 (水) 06時53分

図書館ネットで予約できた。happy01
予約者0だったから早く読めそう。o(*^^*)o

投稿: nono1 | 2010年8月 4日 (水) 20時31分

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投稿: さくらスイッチ | 2010年8月 4日 (水) 21時37分

お恥ずかしいことに、この本の存在知りませんでした。
くっついたのは、珈琲の油脂分のせいかもしれませんね。
油脂分が多く出るような抽出方法で淹れた珈琲で実験するとうまくいくかもしれません。
しかしこんなくだらないことを大まじめに語って、なんという面白そうな本でしょうか!
ぜひ手に入れて読んでみたいと思います。

投稿: sima | 2010年8月 6日 (金) 23時08分

なるほど、油脂成分のせいかも、ですか。^^
私のは珈琲メーカーで淹れたのだから、
きっと油脂分が少なかったんですね。

珈琲って、今でこそ日常的な飲み物ですが、
‘当時’は特別な飲み物だったんだなぁ、と
この本を読んで思いました。

投稿: さくらスイッチ | 2010年8月 7日 (土) 19時33分

これいいね♪
じっくり味わいながら読んでるよ。
テーマもいいし、
(もちろん珈琲を飲みながら読んでる 一度に読まずに)
作品の書かれた時代の空気も味わえるし。
いい本だね。(o^-^o)
古書マーケットで探そうと思ってる。

投稿: nono1 | 2010年8月 9日 (月) 06時10分

気に入ってくれたようで嬉しい!

そうそう、この本はポツポツと読むのが似合うのよね。 ^^♪

投稿: さくらスイッチ | 2010年8月 9日 (月) 21時54分

そう言えば、ネット販売は紀伊国屋書店だったんたけど
そもそも絶版のものを販売対象にしていることを事前にくいとめる策を講じている姿勢が見えない。

これは他の本の注文に対しても(7/29発注)にいまだに
自動レスポンスの次に応答がない。
まるで石器時代みたいだ。
システム崩壊というより構築されていない。

これは本当に情けないことだ。。

投稿: nono1 | 2010年8月10日 (火) 22時42分

天下の紀伊国屋書店がお粗末だね~

投稿: さくらスイッチ | 2010年8月11日 (水) 07時18分

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