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2010年5月29日 (土)

197『暗号解読 ロゼッタストーンから量子暗号まで』 サイモンン・シン 初版2001年

ついにヒエログリフの謎が解かれると
考古学者たちは古代エジプトの歴史・文化・信仰に関する
一次資料を読めるようになった

ヒエログリフの解読は
われわれとファラオの文明のあいだに横たわる
何千年という時の流れに橋をかけたのである

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pc原題

The Code Book: The Science of Secrecy from Ancient Egypt to Quantum Cryptography.(2000)

pc概要

暗号は古代から重要な情報を安全に伝達する手段であったが、絶えず解読の危険性をはらんでいた。本書は、暗号とその解読にまつわる歴史上のドラマをひも解 きながら、暗号の重要性と進化の歴史について語っている。

英国女王エリザベス1世暗殺に関する暗号文書が破られ、処刑されたメアリー・ス チュワートの事件をはじめ、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『仮面の男』(原作はデュマの『鉄仮面』)にも出てくるフランスの鉄仮面に関する文書、埋 蔵金のありかが示されているという謎の「ビール暗号」、第1次世界大戦、第2次世界大戦の様相を変えた暗号解読者たちのテクニックなど、読者の知的好奇心 をくすぐるトピックが数多く登場する。暗号が我々の歴史にいかに大きな影響を与え続けてきたのかがよくわかる。

転置式暗号、換字式暗号といった単純な暗号化の方法から、複雑なヴィジュネル暗号、エニグマ暗号、単純だが決して破られることのなかったナヴァホ暗号のほか、ヒエログリフ、 線文字Bなど、数多くの難解な古代文字や表記が、暗号解読者たちの血のにじむ解析努力と併せて詳述されている。

pc読むきっかけ&目的&感想

同著者の『フェルマーの最終定理』『代替トリック』が面白かったので読んでみた。

さくら好み ★★☆☆☆

面白くない分けではないけど、たくさんの「暗号」が取り上げられすぎて、逆に一つ一つに関してはちょっと物足りない感があった。筆者にしてみれば、随分たくさんの暗号に関する逸話を削ったらしいけど。。。catface

pc覚書

解読不能の暗号

ビール暗号(Beale ciphers) - 1885年に発行された冊子にて紹介された暗号文。ビール暗号は3枚の紙からなり、各々には、財宝のありか、財宝の内容、受け取り人が書かれているとされる。3枚のうち、2枚目は解読されている。真偽不明である。

Beale Papers  1885年発行 23ページ 価額5セントの小冊子はこう書かれている。

1820年1月、ヴァージニア州リンチバーグのワシントンホテルに、ビールという名の、馬に乗ったよそ者が宿泊した。ビールはその後たびたび来るようになり、ホテルのオーナーとなじみになった。二年後の1月、ビールはオーナーに小さな鉄の箱を預けて立ち去った。

その年の5月、ビールから手紙が届き、鉄の箱について説明が書かれていた。それはビールとその仲間たちの財産について、自分が死んだりしたらその所在が分からなくなる。そうなっては取り返しがつかないので、これから10年間箱を預かり、その間に自分もしくは自分に委任された人物が現われなかったら、その箱を開いてくださいと書かれていた。

また箱の中にはオーナーへの手紙と、文書が数枚入っているが、手掛かりがなければ読むことはできない。その手がかりは友人に預けてある手紙で、1832 年6月に配達されることになっていると。

オーナーは言われたとおりに箱を守っていたが、ビールは何年経っても現れることはなかった。そして手紙も届かなかった。オーナーが鉄の箱を壊したのは 1845年だった。中にはオーナーへの普通の手紙と、数字のぎつしり書き込まれた3枚の紙切れが入っており、手紙にはビール自身のことと文書のことが書かれていた。

1817年ビールと29人の仲間はアメリカ横断の旅に出かけた。サンタフェで冬を過ごし、バッファローを追って北へ向かい、小さな渓谷で宿泊したが、そのとき仲間が金らしいものを発見した。仲間は18か月そこに留まり、金銀を掘り続け、相当な量に達した。そのうちこれはどこかに隠したほうがいいということになり、ビールが場所を探して埋めた。ビールがワシントンホテルに現れたのはこの帰りだった。

ビールにはもうひとつの目的があった。信頼できる人物を探し、この秘密を共有する。そうすれば仲間たちに万一のことがあっても、財産が親族に渡るだろうと。だからオーナーの人物を見抜くためにたびたび宿泊し、もちろん残りの金銀を隠すためにも。そして3枚の暗号については、1枚目には宝のありかを、2枚目には宝の内容を、3枚目には分け前を受け取るべき親類縁者を記してあると。

だがオーナーは届けられるべき手紙が届かなかったため、暗号を読むことができなかった。なんとかビールの願いを聞き届けようと解読に挑戦したが、17年間家族を犠牲にしただけだった。84歳になったオーナーは人生も残り少ないと考え、ビール暗号を誰かに伝えなければと友人に打ち明けた。

小冊子を発行したのはこの友人であり、名前は知られていない。それはこの文書が流布されればその問い合わせでかかりきりになってしまうからだった。そして暗号の2枚目を解読したのもこの友人だった。解読には独立宣言が使われていた。書籍暗号である。ただし暗号に使われた独立宣言は現在のものとは版が異なる様だ。

700pxbeale_1svg_2 Beale's first cryptogram

654pxbeale_2svg Beale's second cryptogram

656pxbeale_3svg Beale's third cryptogram

ヒエログリフを美しくみせたかったから

古代エジプト書記がこれら二つの文字をこのように配置したのは、音声上のわかりやすさを犠牲にしてでも美しく見せたかったからである。一般に、書記は隙間が生じないよう、見た目にバランスが良いように文字を配置する。より美しく見せんがために文字の順序をひっくり返したり、発音を無視するような表記をしたりすることさえあるのだ。

暗号化されたヒエログリフ

ファラオの墓に刻まれた碑文には、換字式暗号をはじめさまざまな方法で暗号化されたものがある。また、確立されたヒエログリフ以外にも、その場合かぎりの記号が用いられることもあれば、正しいヒエログリフの代わりに、音声は異なるが形の似たヒエログリフが使われることもあった。暗号化された墓碑銘は、解読を妨げるのが目的ではなく、通り過ぎる人たちの興味をかき立てる暗号パズルの役目を果たすことが多い。興味を引かれた人たちは、その前に立ち止まって長居をするというわけである。

ヒエログリフは表音文字(例外アリ)

Hieroglyph

pc著者

サイモン・シン

1967年、イングランド、サマーセット州生まれ。祖父母はインドからの移民。ケンブリッジ大学大学 院で素粒子物理学の博士号を取得し、ジュネーブの研究センターに勤務後、英テレビBBCに転職。96年、TVドキュメンタリー『フェルマーの最終定理―― ホライズン・シリーズ』で国内外の賞を数多く受賞し、97年、同番組をもとに第1作『フェルマーの最終定理』を書き下ろし、世界的ベストセラーとなる。第 2作『暗号解読』、第3作『ビッグバン宇宙論』(新潮文庫収録時に『宇宙創成』に改題)がいずれもベストセラーとなり、科学書執筆の分野で現在、世界トッ プクラスの高い評価を得ている。

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