« 173『ほんとの植物観察〈1〉ヒマワリは日に回らない』 室井綽 清水美重子 初版2003年 | トップページ | 174『野草手紙 独房の小さな窓から』 フォン・デグォン 初版2004年 »

2010年4月 6日 (火)

173 『ほんとの植物観察〈2〉庭で、ベランダで、食卓で』 室井綽 清水美重子 初版2003年

バナナの食用部は「皮」!?

Dvc00002

bud概要

植物観察というと、野山に出かけてするものと思っていませんか? いえいえ、公園の花壇や街路樹で、庭やベランダの草木はもちろん、食卓にのぼる野菜や果物 でも、植物観察ができるのです。チューリップやスイセン、貝割れダイコンやミカンを、あなたは本当に知っていますか? 「うそっ!」と「ほんと?」を見分け ながら、植物の見方の本質を教えます。

95年刊の新装改訂。

bud読むきっかけ&目的&感想

なるべく身近な植物に関して書いてありそうな本を適当に選んで借りてみた。

さくら好み ★★★★★  

bud覚書

◆トウモロコシは刻一刻と糖分が減る

トウモロコシは夏になると八百屋さんの店先によく出ますが、自己消化の激しい作物で、収穫後、時間とともに糖分が減ってしまいます。口にいれるのに一分一秒を競う食物なので、家庭菜園で収穫したものをすぐ食べるのが、一番おいしいものを味わえるということになります。

したがって、二日も三日も店頭に置かれたものは、味ががた落ちです。それなら、祭りの露店で焼かれる冷凍品の方が、はるかにおいしいです。それは採収してすぐに冷凍するからです。

◆ナスは「かすかす」

ナスはインドの原産で、奈良時代にはすでに渡来していたらしく、栽培の古い野菜です。少しでも早く収穫するために、促成栽培がされていたようで、江戸時代の駿河の国(いまの静岡県)の名物を並べた諺に「一富士、二鷹、三茄子・・・」というのがあります。二番目の鷹は愛鷹山(あしたかやま)のことで、これらを初夢に見ると縁起がいいといわれ、富士山、愛鷹山に次いでナスが登場し、それに続いてタバコ、砂糖などの実用品が並びます。これらよりナスの方が高価であったということは、ナスは熱帯の作物で、夏以外の気候に適応しにくかったことと、連作障害をおこすことが知られていなかったためでしょう。

ナスは夏野菜の代表ですが、野菜の中では最も栄養価が低く、生でかじるとかすかすです。その「かすかす」が転じてナスになったといわれています。

◆フキノトウはキク科では珍しい雌雄異体

フキノトウは古くから食用にされた花菜類で、そのさわやかな香りとほろ苦さが生命です。寒地の雪を破って出てくるものは、本当の味と香りで春を満喫させてくれますが、暖地のものは香りが乏しく、そのうえ苦味が強いので、食用には向きません。フキノトウは丸形のときがおいしく、伸長するにつれて苦味を増して食用にはなりません。

花には雌雄の別があって、株にも雄株と雌株があります。

◆モクレンは「方向指示植物」

三月下旬、春といえどもまだまだ余寒が身にしみるころです。そんななかで、モクレンはわずかに暖かみを増した春の日差しを敏感に受け、蕾の南側が膨れて先端が北を指します。「方向指示植物」とは「コンパス・プラント」、「磁石の木」といわっれるのはこの性質のためです。タムシバやコブシなどのモクレン科の植物や、ネコヤナギをはじめとするヤナギ科の植物に著しい現象で、春先の山中で方向を知る手がかりになります。

◆バナナの輪切りの切り口は五角形

バナナは単子葉植物なので、花の構造は「三」を基数とし、花の外側から外花被片三、内花被片三、おしべは内外三本ずつで計六本、めしべは一本で、子房は三室になっているはずです。ところが、内花被片が一枚欠けていて、外花被三片と内花被二片はそれぞれ基部でくっついていて筒状になり、おしべも本来ならば六本あるところが、内花被の一片に対する部分が欠けているので、五本です。

これは実の先端の花落ちの部分を見るとよくわかります。すなわち、五花被片の跡、五本のおしべの跡、めしべの跡、欠けた花被片と欠けたおしべの位置などが、はっきりと残っています。

それで、実を輪切りにすると、中は三室ですが、切り口は三角形でも六角形でもなく、五角形をしています。

Img

◆バナナの食用部は何と「皮」

バナナは青い未熟な実を収穫し、室内に積み上げてエチレンをかけて後熟させます。成熟すると果皮は黄色くなり、渋味が抜け独特の芳香が出て、果肉は柔らかくなり、甘味も増してきます。

ちなみに、バナナの食用部は、何と「皮」で、中果皮と内果皮の癒合した部分です。むいて捨てるいわゆる「皮」は、外果皮です。

◆ミカンは頭尻で糖度差がある

ミカンの花は五数性なので、袋、すなわち、内果皮も五の二倍の10個あるのがふつうです。星型をした果梗部をとって見ると、内側に維管束の断面が見えます。これは木から実へ水分や養分を運ぶ管で、その数を数えると、皮をむかなくても中の袋の数がわかります。

一つの袋を食べてみると、尻の方、すなわち、花落ちの方が、果柄のついた頭の方より甘味が強く、およそ二度の糖度差があり、人間の舌でも十分に判別することができます。今度ミカンを食べるときは、一気に食べてしまわないで、舌で甘味を試してみてはいかがでしょう。

◆ジャガイモの芋は茎が太ってできる

ジャガイモの種を蒔くと、まず双葉が出て、そのあと羽状枝葉の本葉が出ます。そして、双葉から若い芽が出て下向して地中に入り、先端部は小さい芋になります。

ふつう双葉から下は根ですが、ジャガイモは双葉より上の茎から出て芋になるので、食用部の芋は茎からできたもの、すなわち、茎起源のものです。

◆筍は糠を加えないで皮のまま茹でる

筍は朝掘りの白子を買うことです。前日に掘ったものはあくが強く、どのように調理しても味が落ちます。そのようなものは、竹の皮の表面のうぶ毛が不揃いで、竹の皮も生気を失っているので買わないことです。

ゆでるときは、糠を加えないで竹の皮をつけたままゆでると、竹の皮に含まれる亜硫酸塩のために白くなり、あくもきれいに抜けます。このとき、筍一本に対して、トウガラシを一、二本入れると味が締まります。ゆであがったらそのまま冷やし、水を替えてもう一度ゆでると、さらにおいしくなります。

◆蓮根の上下

ハスの葉柄には、大きな穴が四個あいています。水底の泥の中では、生活を営むために必要な酸素を摂るのがむずかしく、この穴は葉面から吸い込んだ空気を貯える役目をしているといわれ、蓮根の穴も同じ働きをしています。

蓮根には無数の小さな穴と、九個内外の大きな穴があって、そのうちの二個は小さく、その方を上にして、泥中に横たわっています。

Img_0002_5  

◆イチョウが「生きた化石」といわれる所以

イチョウは系統発生的にはたいへん古い植物で、本種の祖先は二億年前の古生代末期に出現したといわれています。恐竜時代に最も栄えていましたが、その後の氷河の襲来によって、多くの植物が絶滅したにもかかわらず、生き残った数少ない種類の一つで、「生きた化石」といわれる所以です。

◆クズの根が「葛根湯」の主材

漢方で有名な「葛根湯」はクズの根をつき砕いて得たでんぷんを主材とした薬で、発汗や解熱の作用があり、冬の風邪薬としてよく知られています。

どんな病気にでも葛根湯を処方するような藪医者を「葛根湯医」といtt軽蔑しましたが、クズはそれほど重要な薬でもあったのです。

Img_0003_3 ◆クマザサの白い隅どり

クマザサは、10月末になって寒さが感じられるころに葉縁に際が出てきます。隅は笹の内縁、すなわち巻き葉のとき芯になった方からできまじめ、続いて反対側に及びます。したがって、内縁の方が白い隅どりが早く進み、面積も大きいことになる。

隅どる理由は、葉縁に養水分を送る道管の発達が悪く、根からの水分吸収が衰えると、葉縁の水分が不足するために白く枯れるからです。

◆水草の生育環境と分布

Img_0004

◆チューリップの花びらは三枚

チューリップの花は、花びらが六枚もあるように見えますが、外側の三枚は萼(がく)、内側の三枚が花びらです。しかし、花びらと萼はよく似ていて、ともに美しく区別がつきません。

Dvc00003_2

|

« 173『ほんとの植物観察〈1〉ヒマワリは日に回らない』 室井綽 清水美重子 初版2003年 | トップページ | 174『野草手紙 独房の小さな窓から』 フォン・デグォン 初版2004年 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 173『ほんとの植物観察〈1〉ヒマワリは日に回らない』 室井綽 清水美重子 初版2003年 | トップページ | 174『野草手紙 独房の小さな窓から』 フォン・デグォン 初版2004年 »