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2010年4月 4日 (日)

172『葉っぱの不思議な力』 鷲谷いづみ 埴沙萠 初版2005年

不思議な力をもつ葉っぱ clover

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clover概要

わずかな光を受け止めたかと思うと、強すぎる光はよける。虫に食べられたかと思えば、やりかえす。水が足りなければやりくりし、あまれば捨てる。強くして しなやか、ときにしたたか。不思議な力をもつ葉っぱが今日も緑の地球を支えています! 葉っぱのふしぎがわかる本。

clover読むきっかけ&目的&感想

老舗WEBサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』の「みちくさの名前。」を読んで、それまで目を向けることなんて殆どなかった「みちくさ」に、 ちょっとだけ興味を持つようになった。それで、身近に生えている植物の事をもうちょっとだけ知りたいなあ、なんて思うようになった。そんなで、適当に選んで借りて読んでみた。

さくら好み ★★★☆☆

clover覚書

◆昼寝する葉

昼間の強すぎる光や暑さをさけるために葉も昼寝をします。その昼寝は、光合成の生理的な活性が低下するといったものから、葉を閉じるので目に見えるものもあります。

4_1_2 生理的な昼寝は、植物を観察しているだけではわかりません。野外の現場で光合成を連続的に測定してはじめて気づくことができる現象です。たとえば、初夏の晴天の日に空き地に生息しているマイヅルテンナンショウの光合成を明け方から夕方まで連続して測ってみます。夜明けとともに次第に明るくなり、また温度が上がっていくので午前中はそれに応じて光合成が盛んになっていきます。ところが正午近くになると光合成が低下します。これが生理的な昼寝です。

植物は光が強すぎるのを嫌います。強すぎる光は、葉内をエネルギー過剰の状態にして障害をもたらすからです。また、強すぎる光のもとでは温度が高く、乾燥しがちなので、葉の中では水も足りなくなってきます。そんなストレスのもとでは葉はがんばるよりは、力を抜いて悪条件をやり過ごしたほうがよいのです。ストレスに痛めつけられた葉は、午後になって光がかなり弱くなってからでないと元気を回復することができません。お天気にもよりますが、炎天下では昼寝タイムは数時間にも及びます。

同時に、光を避ける目にみえる葉の運動が起こります。朝夕は水平に広げている葉を、太陽が高い昼間になると、まるでバンザイをするかのように立ててしまうのです。葉を立てて葉面を太陽光のくる方向に平行にすれば、受ける光を大幅に減らすことができます。葉面で受ける光の強さを調節するために、葉を水平にしたり、垂直に立てたりと、まるで鳥が翼を羽ばたかせるかのようです。5502c1a1548459f217cb395d92329162

クズも、強すぎる光をさけて葉を動かしています。植物はどのようにして葉を自在に傾けることができるのでしょうか。葉の柄の付け根の細胞の膨圧を変えることで葉の向きをかえることができます。膨圧を変化させるためには、液胞の中のリンゴ酸などの有機酸の濃度を代謝によって変化させ、それによって浸透圧を調節します。

*『ほぼ日刊イトイ新聞』 - 「みちくさの名前。」 - クズ

◆虫こぶ

Photo_7 植物が変わった実のようなものをつけていることがあります。これは虫こぶ(虫えい)です。昆虫が植物の組織を刺激して、一部の細胞を増殖させたり肥大させたりして、異常なかたまりをつくりだしたものです。虫こぶはふつう、新芽、新葉、つぼみなど、植物の新しい組織に昆虫が産卵することによってつくられます。日本で虫こぶをつくる代表的な昆虫はタマバエ類です。それぞれのタマバエの種は決まった植物に虫こぶをつくります。タマバエが虫こぶをつくる植物は、ヤナギ科、ブナ科、クスノキ科、バラ科、マメ科、キク科などに多くみられます。

タマバエ意外に、タマバチ、アブラムシ、キジラミ、ハバチ、スカシバガ、アザミウマ、コナジラミ、カイガラムシ類など多様な虫が虫こぶをつくります。同様なこぶは、昆虫だけでなく、ウィルス、マイコプラズマ、バクテリア、菌類、線虫類、ダニ類などによってつくられることもあります。

土壌細菌であるアグロバクテリウムが植物に感染するとクラウンゴールよばれるこぶをつくらせます。これは植物のガンともいうべきものです。アグロバクテリウムは、植物の根などに感染すると、植物のゲノム(遺伝情報)の中に自らの遺伝子(プラスミドDNA)の一部を組み込んでしまいます。その遺伝子がはたらくことによって、さかんに合成される植物ホルモンは細胞分裂を促進し、こぶを発達させます。こぶの中では、やはり組み込まれた遺伝子のはたらきで特殊なアミノ酸がさかんに合成されます。植物が利用できないこのアミノ酸を利用して、アクロバクテリウムがクラウンゴール内で増殖していきます。

遺伝子を操作して、植物を自らの増殖のための奴隷にしてしまう、このなんとも不気味な植物遺伝子操作術は、バイオテクノロジーに利用されています。すなわち、プラスミドの中のクラウンゴールの発達にかかわる遺伝子を取り除き、かわりに人間が有用と思う遺伝子をつないでアグロバクテリウムに戻し、これを植物細胞に感染させることで、有用遺伝子を導入する技術です。

Mushikobumatatabifukeimein

虫こぶまたたび

 

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