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2009年11月 8日 (日)

141『銀の三角』 萩尾望都 初版1982年

あなたは何者だ? ラグトーリン
太陽の変光や 地殻の変動や
・・・・・それらを単に予知してそう言うのか?
それとも――それに力を加えているのか?
万能の超越者か?
あなたには星や生命はどう見えるのだ

わたし?
わたしではない
おや
それとも
わたしかもしれない・・・・・

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bell概要

壮大な時空間で繰り広げられる萩尾望都のSFファンタジー。

昔、音楽に対して少し変わった能力をもった種族がいて、銀色にけぶる三角と彼らが名づけた星に住んでいた。絶滅したと思われていたその種が、三万年後の今、「異形の王子」として生まれ・・・・・。マーリーの遙かなる時空をめぐる謎解きの旅が始まる。

bell読むきっかけ&目的&感想

人に教えてもらったかなり古いSF漫画。

好みの度合 ★★★★★

三回読んだけど、読み直すたびに見えるものが変わって、とても面白かった。

以下ネタバレ含む 

一回目は、主人公マーリーの視座で、作品の美しさと不思議を味わった。マーリー、ラグトーリン、エロキュス、パントー、それぞれが持つ時空間の概念とその時空間での役目は、破天荒な広さと大きさと深さで、読んでいるわたしを圧倒してくる。

二回目は、神に近い存在ラグトーリンの視座で、「神の無限」を味わった。ラグトーリンの「悩み」を共有しながら物語を俯瞰し、ラグトーリンの模索の跡を確認しながら読んだ。

三回目は、パントーという種、ミュー・パントー(最後の銀の三角人)、ル・パントー(小さな銀の三角人)の視座で、その意思を想像しながら物語を味わった。頁を前後に繰りながら、物語に反応して自分の内部に湧き上がる空想を楽しんだ。特に、「異形音」の意味するところとラスト・バリエーションがうまくいった理由、この二つを彼等の視座で想像するのが楽しかった。

今は、ラスト・バリエーションでパントーに救われたと同時にパントーを救い、結果的に彼らを内包した「マーリー・2=ルルゴー・モア=エロキュス=パントー」の視座で、物語を脳内で反芻して楽しんでいる。彼にとって世界は、外にも内にも存在している。ラグトーリンが「食べる」結末になったら消失したであろう物語が、彼の中に永遠に残ったのだ。そして、わたしの中にも・・・・・

凄い漫画! catfaceshine

巻末に収録されていた「星とマンガの話」というエッセイも面白かったので、唯一のエッセイ集だという『思い出を切りぬくとき』(発売日:2009.11.04)をいずれ読んでみたい。“20代の頃の貴重なエッセイ27本を収録”ということなので、31~33歳に描いた『銀の三角』の源泉が垣間見れるかもしれない。

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