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2008年9月の4件の記事

2008年9月27日 (土)

052『コーヒーが廻り 世界史が廻る』 臼井隆一郎 初版1992年

近代市民社会の黒い血液
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概要

コーヒーという商品の歴史をその最初から現在まで辿ってみようなどと考え始めた直接のきっかけは、1977年秋、ベルリンで開催された「ワイマール共和国展」で見たブラジルのコーヒー豆を燃料に走る機関車の写真であった。もともとコーヒーというテーマが連想させる話題は多岐にわたっている。それやこれやでコーヒーの歴史を調べ始めたのであるが、気がつくとドイツを遠く離れ、妙なオフ・ロードにはまり込んでいた。

東アフリカ原産の豆を原料とし、イスラームの宗教的観念を背景に誕生したコーヒーは、近東にコーヒーの家を作り出す。ロンドンに渡りコーヒー・ハウスとなって近代市民社会の諸制度を準備し、パリではフランス革命に立ち合い、「自由・平等・博愛」を謳い上げる。その一方、植民地での搾取と人種差別にかかわり、のちにドイツで市民社会の鬼っ子ファシズムを生むに至る。コーヒーという商品の歴史を、現代文明のひとつの寓話として叙述する。

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読むきっかけ&目的&感想

あたしは2004年まではどちらかというと紅茶党だったけど、2005年1月から(すっごくミーハーなきっかけで)コーヒー党に変わった。それ以前から持っていたエスプレッソ・メーカーに加えコーヒーメーカーとミルを購入し、フレーバー・コーヒーも含める色々な豆を試したり、旅先でコーヒー豆を買って帰るようにもなった。あたしはすっかりそのアロマと味のファンになった。まぁ、コーヒーはクセになるから、単にそのせいもあるけど・・・(笑)。

そんなあたしは、時々、コーヒーについて書かれた本も手に取るようになった。コーヒーそのものについて書かれた本も、コーヒーのあるシーンについて書かれた本も、とても面白い。なので今回は、コーヒーの歴史について書かれた本を読んでみる気になった。

さくら好み ★★★★☆

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2008年9月13日 (土)

051『天才画家「佐伯祐三」真贋事件の真実』 落合莞爾 初版1997年

「佐伯祐三の絵」に潜む 近代日本史の暗部

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概要

ニュース番組以外は滅多にテレビを見ない小生なのに、たまたま見てしまった番組と一本の電話から、武生市の佐伯祐三真贋騒動と吉薗明子さんの苦境を知り、尊父吉薗周蔵の実像把握を引き受けるはめになりました。

第一部の前半は、マスコミ報道の記録を基にして、武生市の佐伯真贋騒動の経緯を整理しつつ、小生の推理と解説をほどこしたものです。後半は、吉薗周蔵の閲歴と佐伯祐三との関係について要約しつつ、武生市美術館準備室なぜ誤断に陥ったのかを明らかにしました。

第二部には、周蔵と交流のあった人物のうちから薩摩治朗八と貴志彌次郎を選び、周蔵との関わりを述べることで、周蔵の一面を髣髴させようとしました。

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読むきっかけ&目的&感想

ちょっと前に甘粕正彦について書かれた本を読み、ネットで彼について色々と流し読みしていて知った本。「美術業界の闇」という単語に惹かれて読んでみる事にした。

さくら好み ★★★★★

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2008年9月 7日 (日)

050『ご冗談でしょう、ファインマンさん(下)』 R.P.ファインマン 第1版2000年

ファインマンと聞いたとたん思い出してもらいたいのは
理論物理学者であったことでもなく
ボンゴドラムでもマンハッタン計画でもない
僕が好奇心でいっぱいの男だったということ それだけだ


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概要

少年時代より変わらぬ、あくなき探求心といたずらっ気・・・。20世紀を代表する物理学者が、奇想天外な話題に満ちた自らの人生をユーモアたっぷりに語る。

*1986年に刊行されたものを2000年に文庫化。訳者・大貫昌子は、自身の娘がファインマンの娘の同級生だった事から、個人的な知り合いでもあった。

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読むきっかけ&目的&感想

アマゾンのノンフィクション・ランキングの上位に入っているのを今年の春に見て、概要や読者レビューを読んだら面白そうだったので興味を持ち、図書館に予約をして読んだ上巻が面白かったので、続いて下巻を予約していた。それを一ヶ月待ってやっと借りる事が出来た。

さくら好み ★★★★★

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2008年9月 4日 (木)

049『甘粕大尉』 角田房子 初版1975年

甘粕にとって天皇と国家と我とは一体であった

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概要 (本書あとがきより引用)

私が甘粕伝を書いた目的は、大杉事件の謎解きではない。“忠君愛国”を日本人の至上の目標として教え込まれた時代の、まっ正直な日本人の典型と思われる甘粕正彦の軌跡を追いたかったのだ。“忠君愛国”を、うむを言わせずたたきこまれたのは軍人だけではなく、日本人全部が、これに従順であるにせよ、反発するにせよ、この堅い土台の上でさまざまな反応を示してきた。

その中で、甘粕は迷わず生きた男である。私は、その生き方が最も正しいと信じられていた時代の中で、甘粕をとらえていった。今日、彼の生き方は否定するほかない。しかし今日の目で、愚かだの、哀れだの、間違っていたのといったのでは、実体は所在不明になってしまう。甘粕はあくまで、彼が自決した昭和二十年八月までの人間である。時代もまた同様で、それらの条件は動かせない。

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読むきっかけ&目的&感想

少し前にNHKで『調査報告 日本軍と阿片』という番組を見た。実は結構知られた事実であるらしいが、日本軍が組織的に阿片を管理売買し戦費に利用していた事を、あたしはこの番組で初めて知った。もう少し詳しく知りたいなと思ったので、ケシの栽培と阿片採取を奨励して廻った「二反長音蔵」、満州の国策である阿片ビジネスでリーダーシップをとった「甘粕正彦」、関東軍と結託しアヘン取引組織を作った「里見甫」について書かれた本を探して読んでみる事にした。その二冊目が本書になる。

さくら好み ★★★★☆

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