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2008年5月18日 (日)

024『ROCKIN'ON JAPAN 2008年 05月号』 宇多田ヒカル インタビュー

「ジャンルに属さない音楽」

Rockinon_2

・・・・・ 読むきっかけ&目的&感想 ・・・・・

2002年に宇多田ヒカルがアルバム『DEEP RIVER』をリリースした時、体調を崩してプロモーション活動をキャンセルした。その時、彼女の希望で、この音楽雑誌『ROCKIN'ON JAPAN』当時編集長・鹿野淳氏と対談が行われ、その文章が彼女のHPにアップされた。その内容がとても印象深かったので、今回のロングインタビューも読んでみたくなった。で買ったのかというと、興味があるのが彼女のインタビューだけだったので、立ち読みしちゃいました。。。m(_ _)m。

さくら好み ★★★★☆

あたしには何時も「(流行っているとは限らないけど)お気に入りの曲」というのがあって、それは常時入れ替わっていく。聴き込み過ぎて飽きたり、なんか合わなくなったりとかで、言葉は悪いけど消耗してしまうと「お気に入りの曲」は入れ替わる。がしかし! 消耗してしまわない曲がある。いつまでたっても「お気に入りの曲」で、いつ聴いても新鮮で、まったく古びて感じない曲・・・・・。それを人は名曲と云うんだけど、人が云う名曲ばかりにこの感覚を感じる分けでもない。

あたしにとって「消耗しない曲」は数々あるけど、単一アーティストの曲全てがそうだというのは、あたしにとっては宇多田ヒカル以外に存在しない。彼女の曲を聴くと、いつリリースされた曲でも(例え10年前のデビュー曲でも)、懐かしさよりも新鮮さを感じる。常々あたしはそれを不思議に思っていた。

あたしはその理由を、彼女は作詞作曲、メインボーカルのみならずコーラスに至るまでを自身でやるため、曲世界の細部にいたるまで統一感があるためなのかなぁ、なんてボンヤリ思っていた。それを知人と話していた時、「う~ん、それは‘消耗しない曲’であるための理由にはならないと思うなぁ。作詞作曲とボーカルが別って名曲も結構あるし・・・」なんて言われて、「そうだねぇ、じゃあ何故??」と色々と話したような記憶がある。でも、納得できる答えは出なかった。。。

で、ですね、今回のロングインタビューを読んで、納得できる答えが出たんですよ。あくまで、あたしなりにだけど。

このインタビューの中で宇多田ヒカルは、「どのジャンルにも属さない音楽」を作りたいと言っていた。(この言葉は過去のインタビューでも読んだことがあった。)その意味は、例えば「ロックっぽい曲」と「ロックっぽくない曲」みたいな基準のある音楽じゃない音楽の事みたいだ。(「ロックっぽくない」という曲も「ロックっぽい」という基準がないと存在しない。)そういう基準の存在しない音楽って、どんなの???、と思って読み進めると、アレンジの時、宇多田が「(自分のシンセで作ったデモ音だとイマイチだったので)この音をもっとプロっぽい音にしようよ」とプロのアレンジャーさんに言うと、ジャンルっぽい音を出してくる事が多くて、そういう音を自分は好きじゃない、みたいな事を言っていた。あと自分のイメージがアレンジのセオリーに反していることもあるけど、自分のイメージ優先でセオリーに反した曲(キックドラムが無い・・・とか)を完成させても曲としてまとまっている、みたいな事も言っていた。

あたしはこの辺りまで読んでハッとした。例えシンガーソングライターと呼ばれる人であっても、アレンジは別の人がやっていたりする。作詞、作曲、アレンジ、演奏、ボーカルを全部違う人がやるなんて事も多い。というか、そっちのほうが普通なのかもしれない。それらを一つのコンセプトにまとめる音楽プロデューサーなんて仕事が存在してるんだしね。そういった共同作業になると、そこには「共通言語」が必要になる。つまり、相手に伝えるために比喩として使う言葉なんだけど、その言葉を弄して安易に曲を作ると、どうしても「ジャンルっぽいセオリー通りの曲」になってしまうんじゃないのかな、って想像した。「ジャンルっぽいセオリー通りの曲」だと、どうしても飽きちゃうんだろうな。だって、過去の型にはまりやすいし、流行を反映しやすいしから、似たような曲ばかりになっちゃう。もちろん、そうなるとばかりは限らない。だって、共同作業で作られた曲でも、飽きない曲はたくさんあるもんね。その分かれ目は、どんな「共通言語」を使うかにかかっている気がする。ただ、そんな「共通言語」はアレンジまでこなす宇多田には必要ない。というか、もっと言語化される前の「感覚的なモノ」で、ひとつの曲を作ることが出来る強みがあるんだ、と思った。

「宇多田ヒカルの曲に、いつ聴いても、懐かしさよりも新鮮さを感じるのは何故?」というあたしの疑問に、あたしなりの答えがでた。宇多田の曲は、R&Bとかバラードとかポップスとか云われるけど、実は「ジャンルっぽいセオリー通りの曲」ではない事によって「どのジャンルにも属さない音楽」になっているからなんだと。どの音も、たった一人の人間の感覚で結びついているからなんだと。大抵の曲は「その時代らしさをまとった流行のジャンルの空気」を醸し出しているんだけど、彼女の曲はそうじゃない。彼女の曲にインデックス可能なのは、「宇多田ヒカルの音楽」という言葉だけだ。その上彼女は、「ジャンルっぽいセオリー通りの曲」を避けているだけじゃなくて、自身の過去の曲と被る事さえ意識して避けているみたいだから、彼女の曲は、「宇多田ヒカルの音楽」というインデックスでくくられても、それぞれの曲が独立して個性的に感じられるのだろう。だから、時間の経過による垢(古さ) が付かないため、いつ聴いても今の自分の心境だけを反映させる事が出来るんだ。 。。なんて事を、立ち読みしながらウダウダと考えた。(笑) 

ただ、本当にスゴイと思うのは、こういう理屈抜きで、それをあたしに感じさせてくれるところだ。
 

・・・・・ 覚書 ・・・・・
 
◆「童謡みたいに作者不明で普通に歌われている音楽が理想」、と宇多田が語っていた。「童話みたいに作者不明で語り継がれている物語に憧れているようだ」、と鈴木敏夫が宮崎駿監督の事を語っていたのを思い出した。作品自体が生命を持つ、というのは創作者にとって理想形のひとつなんだなぁと思った。

◆否定を肯定できるようになった。肯定の裏には否定があるから。例えば「宇多田ヒカルが存在する世界」を肯定すると、それは「宇多田ヒカルが存在しない世界」を否定することになる。

◆地味な革命

◆大きなステップではなく、小さなステップを早く登る時代。

◆世界の五大宗教も習ったけど、それを知った上で、その枠に縛られない考え方をしたい。 

◆自然界に存在しないものの音で、宗教音楽は作られている。自然界に存在しないからこそ、人間はその音に神秘を感じる。鐘の音もそう。そういった音が好き。


20080518

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コメント

初めまして♪
読んで凄く共感したので感想書いてきます(^-^)

「どのジャンルにもあてはまらない曲」
なるほど!っと思いました*。

宇多田の曲は、ジャンルを説明しようとしても上手く説明出来ないけれど、どの曲を聞いても「宇多田っぽいなぁ~」と私は感じるんですよね(*^-^)

それが宇多田の世界
というやつなんでしょう。

彼女にはいつまでも
みんなの心に残る
存在になってほしいと思います(*^_^*)

感想を長く書きすぎちゃいそうなのでこの辺で(..)

ありがとうございました(#^-^#)

投稿: 杏仁 | 2008年10月 6日 (月) 02時14分

★杏仁さん コメありがとhappy01

宇多田の世界に あたしは住んでる
あたしの世界に 宇多田は住んでる
・・・そんな風に感じられる彼女の歌

彼女が あたしと同じ世界の住人でいてくれる限り
あたしが 彼女と同じ世界の住人でいられる限り
彼女は あたしの心に残る存在であり続ける

宇多田の世界に住む杏仁さんの世界は
あたしの世界ともつながっていそうだね heart

投稿: さくらスイッチ | 2008年10月 6日 (月) 19時33分

お返事ありがとうですhappy01

私の世界の宇多田と
さくらさんの世界の宇多田がつながって
いるとしたら
とても嬉しい事ですconfident

私は、宇多田ファンの
みんなの世界が
つながっていて
欲しいと思いますね★

投稿: 杏仁 | 2008年10月 9日 (木) 12時53分

★杏仁さん レスありがと

緊密にではないけど
宇多田ファンの世界はみんな
ゆるやかに つながっていると思う

その束縛感のない ゆるさが
自由で安心感のある
心地好いつながりを生んでる気がする note

ファンクラブが無いのもGood!

投稿: さくらスイッチ | 2008年10月 9日 (木) 22時26分

確かにファンクラブがないのは何か良いですよねconfident
ゆるやか~って言うか、みんなマイペースな感じがします(*^_^*)。

こんな事言ったら失礼ですけど、ジャニーズのファンの方達は、凄く忙しそうに見えます(^_^;)


そういうのを見ると、「やっぱマイペースっていいなheart01」っと思いますね★

投稿: 杏仁 | 2008年10月10日 (金) 06時37分

★音楽の楽しみ方は 人それぞれだからね smile

宇多田の2ndアルバム「Distance」収録の『Eternally』が
CX系ドラマ「イノセント・ラヴ」の主題歌になるね

バラードにアレンジされた『Eternally -Drama Mix-』が
今から楽しみ

投稿: さくらスイッチ | 2008年10月10日 (金) 21時18分

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