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2008年5月10日 (土)

020『音律と音階の科学』 小方厚 初版2007年

ドレミ・・・は、まずピタゴラスが決めた!

なぜドレミ・・・という音階が人類に受け入れられたか?

20080509

***** 概要 *****

ジャズ、ロック、ポップス、クラシック、歌謡曲・・・・・あらゆる音楽に使われているドレミ・・・は、素数2と3を使って、まずピタゴラスが決めた。それから、純正律や、いくつかの音律を経て、現代の平均律へと進化した。音楽と数学の、ちょっと以外で濃密な関係を興味深く解き明かす。

音楽の3要素であるメロディ、リズム、ハーモニー、そのうちのメロディとハーモニーを対象に記述されている。ドレミ・・・のバックにある数学、物理学、そしてサイコ・フィジクス(心理物理学)を、分かり易く説明してくれる。

*著者による「音律と音階の科学」正誤表 
 

***** 読むきっかけ&目的&感想 *****

音楽は理屈じゃない!好きな音楽は好きだし、嫌いな音楽は嫌い、それで十分・・・なぁんて、あたしは思ってる(あたしは聴く専門だしね)。でもその反面、何で好きな音楽とそうじゃない音楽があるんだろう、何をしてあたしはそう感じるんだろう、なんて思ったりもする。

例えば、あたしはバイオリンの音色は好きなんだけど、ピアノの音色は苦手だったりする。オーケストラ音楽よりは、よりハーモニーの少ないカルテットなんかのほうが好きだ。単に好みの問題、と言ってしまえばそれまでだけど、それだけじゃないよね。。

・・・・・そんなあたしの思いに答えが出るかどうかは分からないけど、数学的アプローチで何かが見えるかもしれないなぁ、なんて思って手にした本。

さくら好み ★★★☆☆

「自分の好み」に、今まで思ってもみなかった方向から、光が当てられたような気がした、、、とまで言ったら、ちょっと大袈裟か(笑)。

音楽という曖昧な表現方法が、数学というアプローチをとると、数字的に明確な表現方法になる。そうよね、音楽も「音」なんだから、こういう数学的な姿ってのもあるんだよね。それを再認知&新認知した。

でもって、当たり前みたいに受け入れている「あの音律と音階」、それが歴史的にはこんなに当たり前のモノじゃなかったなんて、そして今も新しい試みが行われているなんて、何か世界が開けた気がした。今、音痴でも、未来ではそうじゃないかも! (それとは違う? ^^;)

科学的アプローチの音楽を読むのも悪くない。というか、下手な評論読んでるより、ずっと面白かった。
 

***** 著者 *****

小方厚
1941年東京生まれ。名古屋大学プラズマ研究所(現・核融合科学研究所)、日本原子力研究所(現・日本原子力開発機構)、高エネルギー加速器研究機構、広島大学を経て、現在は大阪大学産業科学研究所特任教授。専門はビーム物理だが、最近は暇さえあれば学生バンドに加わってビブラフォンでジャズを演奏している。趣味はガラス絵。
 

***** 覚書 *****

◆ジャズと共演するためにアフリカ現地から来日したミュージシャンが、ピアノの音を聴いて「この楽器、音痴だ!」と罵倒した・・・・って何て象徴的で面白い話なんでしょうか。あたしはピアノの音が好きではないけど、「音痴」だとは思わないもんねぇ。「音楽に国境は無い」なんてよく言うけど、音律と音階の基準って世界共通なわけじゃないのね。

◆「デジタル楽器」と「アナログ楽器」の分け方って↓↓なのねぇ、恥ずかしながら知らなかった。あたしが好きなのは、ドレミ・・・にとらわれない微妙な音高も出せる「アナログ楽器」なのかも。。

デジタル楽器
ドレミ・・・とデジタル化された音高がそのまま出るように作られている楽器(つまり、音を出すだけなら、あたしでも簡単にドレミ・・・が出せる楽器) : すべての鍵盤楽器(パイプオルガン、エレクトーン、アコーディオン)、エレキベース、ギター、ウクレレ、マンドリン・・・、デジタル化は十分ではないが多くの管楽器(例外 トロンボーン)

アナログ楽器
音高がそのまま出ない楽器(つまり、ある程度練習しないと、ドレミ・・・さえ出せない楽器) : バイオリン属の楽器(バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、、、例外 ビオラ・ダ・ガンバ)、三味線、トロンボーン 

Harp ◆等比数列を実現させると音列が出来るとは! ハープの弦を保持する枠の曲線って優美で綺麗なんだけど、あれが等比数列を実現するように弦を並べた姿だったとは!! つまり、ハーブの姿って、一種のグラフみたいなもんなのか!? ・・・おそるべし数学。。

◆現在のすべてのデジタル楽器のルール『12音平均律』。“「ある数」の値をすべて同じに決める”音律 = 隣り合う音高の周波数比が均一な音律

ヨナ抜き5音階 (中国から輸入された奈良時代『呂旋法』。明治以降、西洋音楽が流れ込んだ後『ヨナ抜き5音階』。「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ♪」を「ひ、ふ、み、よ、いつ、む、なな」に見立てて、ファとシがない5音階だからヨナ抜き。) 

<日本の童謡>『夕焼け小焼け』 『赤とんぼ』 、<歌謡曲>『岸壁の母』 『心のこり』 、<フォークソング>『結婚しようよ』 、<スコットランド民謡>『蛍の光』 、<黒人霊歌>『アメイジング・グレイス』などなど。。 

ええ~、あたしも知ってる曲ばかりだけど、これらがファ♪とシ♪がないドレミソラ~♪な5音音階だったなんて、、、というか「ヨナ抜き5音階」なんて括りがあったなんて、、、

◆おおざっぱな音律の歴史 : 純正律 → ミーントーン、ウェル・テンペラント → 平均律

◆「2音を重ねたとき、その2音の周波数の比が簡単なほど響きがよい」 

ピタゴラス音律だと「ド♪+ミ♪」の響きが悪い。純正律で初めて「ド♪+ミ♪」は協和した。

◆「平均律普及以前に平均律ではない音律のために作曲された曲、バッハやモーツァルトやベートーベンの音楽が、現在平均律で演奏されているのは問題かもしれない。」 。。。って、ええ~!?、そりゃ問題だろ。だって、それって既に、作曲した音楽とは違う音楽なんじゃないの?

◆イヤホーンで低音が聞こえるのは、「存在しない基本波(missing fundamental)」wikiを聞いてたからだったなんて、・・・というか「存在しない」のに聞こえるなんて、聴覚は低音になると鈍くなるから錯覚してただけなんて、、、驚きだ!!20080510
上画像図にある様に、100Hzが存在してなくても、100Hzと錯覚するんだって、人間の聴覚って・・・(笑)。 

◆ある周波数領域で耳の感度が良いということは、物理的な音量は同じでも、その領域ではより大きな音として聞こえるということである。つまり、物理的音量と生理的音量は違うのだ。この2つの音量を変換するために、ラウンドネス曲線というものがある。

オーディオ装置には音楽を小音量で聴くときのために、ラウンドネスというつまみがある。小音量では好みに応じて高音・低音だけをてこ入れしたほうが良いということだ。

低音側・高音側では周波数をもっと広げないとオクターブ「らしく」聞こえない。ピアノの調律は、あらかじめこの事実を計算に入れて作成した「調律曲線」に従って行う。

◆「心地よい音楽」って、耳慣れの要素も大きいんだよね。聞き慣れてるから好き? 好きだから慣れるまで聴く? どちらでもあるよね~。でも、確かに慣れ過ぎると退屈でもある。でも、でも、でもさ、「音律・音階から変える」なんて考えた事もなかったよ。

・こうした状況を打破するためには、音律・音階から考え直すことも必要であろう。

・いま聴いている音楽が、この先どうなるか、予想が付けばその音楽は心地よいとし、逆に「先読み」できない音楽を嫌う。

・これに対しわけの分からない音楽を聴くのは冒険で、エネルギーがいる。

・ときどき先読みが外れるかもしれないが、これとても先読みができて初めて、先読みが裏切られる楽しみを感じることができるというものだ。

・西洋音楽の歴史を眺めると、次第に「心地わるい」非協和な響きが受け入れられてきたことが分かる。ベートーベンはそれまで忌避されてきた減5度という不協和音をけっこう使ったし、ドビュッシーは全音音階すなわち6音平均律を使った。バッハの時代の人がベートーベンの音楽を聴いたら、拒絶反応を示すであろうし、ベートーベンの時代の人がドビュッシーを聴いても同じであろう。この先もこの傾向が続くとすれば、協和・不協和の概念も変化していくであろう。
 

◆マイ・マインドマップ♪ 下記画像をクリックすると読めるよ。もし上手くいかなかったら→20080509map_2 ←をクリック♪

20080509map_3  




20080504

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