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2008年3月31日 (月)

005『眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く』 アンドリュー・パーカー 第一版2006年

眼が突然

どこからともなく地球上に現れたように見える歴史的瞬間は

必ず存在する

開眼により 世界は一変する

20080331

難しいことかもしれないが、ちょっと想像してみよう。どこにいたとしてもわれわれを取り巻いているすばらしい色彩の世界は、じつはいっさい存在していないという事実を。環境中には色など存在していない。実在しているのは、たまたまぶつかってきた各種の電磁波を屈折偏光させている物体だけなのだ。バラの花が赤い色を発しているわけでもないし、葉が緑の色を生みだしているわけでもない。紫外線を例に出せば、納得してもらえるかもしれない。 <本書p329より抜粋>

『眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く』というタイトルに惹かれて読んでみた。‘眼の誕生’!? そうだよね‘眼’が無かった時代も存在してたんだよね! 

< さくら好み ★★★★☆ 

 
 
 

以下ネタバレあり。

 

パーカーの新説は、名付けて「光スイッチ説」。生物がそれ以前から太陽光の恩恵を受けていたことは冒頭で触れたとおりだが、生物が太陽光線を視覚信号として本格的に利用し始めたこと、すなわち本格的な「眼」を獲得したのはまさにカンブリア紀初頭のことであり、そのことで世界が一変したというのが「光スイッチ説」の骨子である。

俗にいう肉食動物が視覚を獲得したことで食う・食われるの関係が激化し、体を装甲で固める必要性が生じた。それがカンブリア紀の爆発的進化を引き起こしたというのである。

一般にカンブリア紀の爆発というと、カンブリア紀開始当初のわずか五〇〇万年前に、多様な動物グループが突如として出現した出来事であると理解されてい る。

しかしそれは事実誤認であるというのだ。その直前までにすでに登場していたすべての動物門が、突如として複雑な外部形態を持つにいたった進化上の大事 変こそが、カンブリア紀の爆発の実態にほかならないというのである。そしてそのきっかけが、「眼」の獲得だった。 <訳者あとがきp378~379より抜粋>

上記のような新説云々よりも、あたしが面白かったのは、アンドリュー・パーカーが日常に向ける視線の有り方だ。彼の視線の先には、あたしには想像も付かない世界が出現 している。その反面、彼の経験談を交えながら‘僕’という一人称で語られる新説は、とてつもなく縁遠い世界の出来事であるにも関わらず、とても身近に感じ られた。

 

‘視覚’というものを再認識させられた。

眼は、大気中を透過する光の波を映像に変換する検知器である。太陽から出て地球の大気圏内に入ってきた光の波は、そこらじゅうにあるさまざまな物体にぶつかって反射する。動物に当たると光の波に変化が生じ、それがどんな動物で、環境中のどこにいるのかといった情報を伝える。眼は、そうした情報をもらさずキャッチする。眼は視覚と呼ばれる感覚を生み出すが、それは眼だけに特有の能力である。環境中にはさまざまな波長の電磁波が飛び交っているが、色はない。色は脳のなかにしか存在しない。

「眼」とは、光を利用して物体を識別するための映像を形成する能力を有する器官をいう。~中略~ ところで、眼そのものは、見るという行為全体の第一幕にすぎない。第二幕で、視覚情報が電気信号として眼から脳に伝達され、第三幕で、脳で像が結ばれる。視覚を得るには、眼と脳の両方が必要なのだ。

「見るべきか、見ざるべきか」という興味深い問題をとりあげる。 <本文p238~p240より抜粋>

「見るべきか、見ざるべきか」!? なんてスゴイ‘問題’なんだろうか。オ、オモシロイ!!!

「ほんとうにこれは新説なんだろうな」 <本文p374より抜粋>

笑わせて貰いました。ホントだよねぇ、なんか当たり前のような事にも感じるのよねぇ。

 
 
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アンドリュー・パーカー

20080401a 1967年英国生まれ。オーストラリア博物館研究員を経て、1999年から英国ロイヤルソサエティ大学特別研究員としてオクスフォード大学動物学科の研究リーダーに就任。2005年からは英国自然史博物館動物学研究部研究リーダー。2005年には2冊目の著書 Seven Deadly Colours:The Genius of Nature's Palette and How It Eluded Darwin (Free Press)を出版。

渡辺 政隆

1955年生まれ。サイエンスライター、文部科学省科学技術政策研究所上席研究官。

今西 康子

1958年、神奈川県生まれ。NTTの健康管理所に勤務ののち、現在は翻訳業。

 

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カンブリア爆発 wiki

カンブリア爆発 (カンブリアばくはつ、Cambrian Explosion) とは、一般的に、古生代カンブリア紀、およそ5億4200万年前から5億3000万年前の間に突如として今日見られる動物の「門(生物の体制)」が出そろった現象であるとされる。カンブリア大爆発と呼ばれる事もある。

20世紀前半まで

古くから、カンブリア紀とそれ以前との間の化石資料の差については謎とされてきた。カンブリア紀の地層からは、各種サンゴや貝類、腕足類、三葉虫など、数は多くないものの、多細胞動物として高度に分化した動物が見いだされるが、それ以前の地層からは動物化石がほとんど見つからない。

チャールズ・ダーウィンは、自己の進化論の中で、生物進化がゆっくりと進んできたはずであることを説いたが、そうであれば、先カンブリア時代からは様々な単純な多細胞動物の化石が出るべきであって、それが出ないことを謎だと述べている。

このことを説明するために、様々な考えが提示されてきた。たとえばその時代の地層が、何らかの理由で欠失しているとか、多細胞動物の祖先が化石になりにくい生活をしていたとか、あるいはごく小形で軟体性であったので化石にならなかった、などである。

発展

しかし、その後の研究で先カンブリア時代の化石が次第に発見され、カンブリア紀の化石産地も新たに調査が行われた結果、謎はさらに深まってきた。

先カンブリア時代の化石からは、その時代に様々な大形生物がいたこと、しかし、エディアカラ生物群に見るように、それらが必ずしも先祖的多細胞動物には見えないことが判明した。それらを現在の生物とはまったく異なる系統のものと考える説すらあり、仮にそれらを現在の動物につながるものと見なしたにせよ、カンブリア紀の動物多様性とは似つかないものである。

また、カンブリア紀の化石については、バージェス動物群の見直しや新たな化石群の研究から、その多様性の高さがより明らかとなり、それまではもっと後になって出現したと考えられていた脊索動物など(魚類を含む)の化石までが発見された。今では、動物については、苔虫動物門を除くすべての動物門がカンブリア紀に出現した可能性があり、しかも現在の所、これらの先祖をさかのぼることが出来ていない。

カンブリア爆発の原因

従来、「カンブリア爆発」は、カンブリア初期に一斉に生物の体制が出そろった現象と説明されてきたが、分子遺伝学の進歩から遺伝子の爆発的多様化はカンブリア爆発のおよそ3億年前に起こっていることが分かり、カンブリア初期に短期間に大進化が起こったわけではないとの考え方が主流となった。つまり、カンブリア爆発は形態の爆発的多様化であり、生物の体制は先カンブリア時代に徐々に出揃ったと考えられるようになった。アンドリュー・パーカーはカンブリア爆発を「多くの門が同時期に一斉に硬組織を獲得した現象」と定義している。

1998年にパーカーはカンブリア爆発の原因として、有眼生物の誕生による淘汰圧の高まりをあげた「光スイッチ説」を提唱した。生物の歴史上、はじめて眼を持った生物(三葉虫)が生まれ、眼をもってない生物に対して有利となった。その捕食に対抗するため多くの生物が硬組織を獲得していったという説である。

カンブリア爆発の原因として、スノーボールアース(雪球地球)の終結との関連性が従来から指摘されていたが、パーカーはスノーボールアース終結からカンブリア爆発まで、少なくとも3200万年も経過していることから、関係があったとしても間接的なものにとどまると述べている。 

20080316m

 

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コメント

面白そうな本ですね。
アンドリュー・パーカーさん、惜しい!て感じです。
人の話を聞かない人間で、人の本もあまり読みません。
無学の人間ですが、進化論の新説の投稿先はないかと探しているときにこのブログを見つけました。

投稿: Lamarck.jp | 2014年6月 4日 (水) 18時39分

◆Lamarck.jpさん

コメントをありがとうございます ^^

投稿: さくらスイッチ | 2014年6月 5日 (木) 07時22分

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